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吉原椀貸塚古墳

水面に静かな影を落とす、石舞台のような古墳

吉原椀貸塚古墳

 「善通寺五岳の里」市民集いの丘公園のすぐ西にある大塚池。筆ノ山と我拝師山に守られ、山の緑を映す美しい池ですが、この池の中に巨大な岩を組み合わせて造られた横穴式石室のある吉原椀貸塚古墳があります。6世紀末から7世紀初頭に造られたと考えられています。石室の全長は約13m、玄室の長さ6.2m、同幅2.5m、同高2.75m以上、羨道(せんどう)の長さ6.6m、同幅1.7m、同高2.0mのとても大きな横穴式石室が見られます。このあたりを治めていた豪族の首長のお墓だといわれ、かつての盛り土が失われて石室が露出した姿は、奈良の石舞台古墳にも似ています。大塚池古墳とも呼ばれ、満水時にはほとんど水没してしまいますが、水面に影を落とす巨石の姿は静かな威厳に満ちています。近くには、天水(あまつ)分神、国水(くにつ)分神など7神をまつる水分(みくまり)神社もあり、古くから信仰の対象であったようです。
 吉原椀貸塚古墳がある大塚池周辺は水の風景を楽しむ大塚池水辺公園として整備されました。この古墳には、「もてなしの折りにお膳の椀が足りなくなり、この塚に詣でて椀を借りていった」という伝説があり、周辺には椀貸伝説を記した標識や古墳のレプリカがあります。